シニア?

皆さま、こんにちは。サイクロア代表Nでございます。

私事で恐縮ですが、10月は私の誕生月でして、またひとつ、歳を重ねてしまいました。歳は取りたくないですが、こればっかりは避けられません。ちなみに星座はバランス感覚に優れる?天秤座です。

JR東日本のシニア向け割引サービス『大人の休日俱楽部』。CMなどで見て知ってはいたのですが、自分にとってはずっと遠い先のことだと思い込んでおりました。たまたま目にした広告で、自分がすっかりこの「大人」の仲間入りしていることを知り、愕然とした次第です。
映画などの鑑賞もいつの間にかシニア割引の対象になっていたりして、社会の中で自分がそういう立ち位置にいることを嫌でも再認識させられます。

私が毎年参加しているハーフマラソン大会。参加者は50歳を境に「一般」と「壮年」に強制的に区分けされます。
この50歳を境にというのが意外に多く、望んでもいないのに勝手に「シニア」とか、「壮年」とかいわれるので困惑します。男子ゴルフに「シニアツアー」というのがありますが、あれも50歳以上です。
割引サービスを受けられるのは嬉しいのですが、この「シニア」という称号、個人的にはちょっと恥ずかしく感じております。

私の若い頃は、割引サービスといえば女性向けと相場が決まっておりました。映画のレディースデイが有名ですが、ディスコの入場料をはじめ飲食関係は女性だけ割引になるサービスばかりでした。シニア割引の類も当時からあったと思うのですが、対象となる世代はもっと上だった気がします。

当時は「なぜ女性ばかり優遇されるのか」と疑問に思ったものですが、ジェンダーフリーなどという言葉もない時代。女性が集まるところに男は勝手に集まるという、露骨な集客手段だったのでしょう。
いま風にいうと女性を使ったマーケティング。まんまと乗せられておりました。SNSが発達した現代では、「女性限定」などといった瞬間に炎上しそうです。

自分がそうなったので気付くだけかもしれませんが、最近50代を対象に含むシニア向け割引サービスが多くなってきた気がします。昔はもっと上の世代向けの割引サービスだったイメージが、いつの間にか50歳まで拡大された感じです。

人口のボリュームゾーンということもありますし、まだまだ健康で元気な世代。アクティブに動かれる方も多いのでしょう。さらには、この世代を引き出すことで、一緒についてくるその子供や孫、さらにはそれに関連した支出を狙っているということもあると思います。
少子高齢化などによる社会構造の変化に伴い、お金を出す人の属性が「男」から「シニア」に変わったことを実感します。

こうして考えると、私の世代は若い時からずっとマーケティングの餌食にされている気がしてきました。それだけ人間の本能に忠実な世代、といえるのかもしれませんが。
今後エイジフリーの考えが浸透してくると、こうした年齢で一括りにすることも不適切になってくるでしょうか。勝手に「シニア」などに分類されることを望まない身としては、そういう社会が訪れることを願っております。

少し前に話題になった『 LIFESPAN(老いなき世界)』。少々難解な本ですが、内容自体は非常に興味深いものでした。
人間なら誰にも平等に訪れる老化現象を「病」として捉え、老化を治療する研究が進んでいるようです。それなりの成果をあげつつあるようで、本には老化防止に効果のあった物質なども記載されております。トム・クルーズのような元気な60代が今後増えるかもしれません。

いつまでも若々しく、健康でいられるのなら、こんなに素晴らしいことはありません。社会保障費の削減にもつながりますし、本人だけでなく社会全体にとってもメリットは大きいでしょう。介護問題の根本的な解決につながる可能性もあります。
果たしてそんな未来は訪れるのか。「シニア」の称号を返上できる日は、そう遠くないのかもしれませんね。