EVのリアル?

皆さま、こんにちは。サイクロア代表Nでございます。

先日の日経新聞夕刊にこんなサブタイトルの記事が出ておりました。
「電気たまらず、ストレスたまる EVライフのリアル」

東京⇔徳島間往復1500キロを日産のEVアリアで走破し、日本の実質的な標準規格である『チャデモ』充電網の使い勝手を検証するというもの。
記者の方はご自身でテスラのクルマを購入し、以前に東京⇔山口間で2100キロを走破した経験をお持ちでして、その際のテスラの使い勝手との比較検証を行っております。

ご存じない方も多いと思いますが、テスラの急速充電はスーパーチャージャーとよばれるテスラ自前の充電器でのみ可能で、チャデモには対応しておりません。テスラの充電網は日本に1000口、対するチャデモは1万2000口ですから、どう考えてもチャデモのほうが有利にみえるのですが、結果は意外なことにテスラに軍配。なぜでしょうか。

記事を読んだ個人的な感想ですが、日産がEVというクルマ単体を販売している会社なのに対し、テスラは充電サービスも含めたトータルソリューションを販売する会社という印象。そもそも比較するのに無理があるような気がするのですが、こう考えるとテスラ優位はあきらかでしょう。
充電ポイントに行ってみたら使用中で使えなかったり、充電器自体の性能の問題で予定通りの充電量が確保できなかったり、EVと充電サービスが別会社になっている日産・チャデモでは、どうしても連携の部分でこうした問題があるようです。充電器の数で圧倒しながらサービスの差で負けているというのは、なんとも勿体ない気がします。

ちなみに、テスラの充電器は現状日本の高速道路には設置されておらず、充電する場合はいちいち高速を降りなければいけないのですが(アダプターを使えばチャデモでも充電可能ですが)、それでもテスラの方がストレスが少なかったといっておりますので、事態はより深刻でしょうか。

もっともテスラの充電器は地方での普及が進んでおらず、全国に普及しているという安心感ではチャデモに軍配があがると思います。

なるほど、EVライフとはこういうものかと、大変興味深く読んだのですが、EVが主流になるとハードウェアの良し悪しだけではなく、ソフトウェアも含めたトータルソリューションが重要になってくるのだと実感した次第です。
イーロン・マスクという人は最初からその重要性に気づいていたわけですから、普通の人とは見ている景色が違い過ぎて怖くなります。

私、若いころに某フランス車に乗っていた時期がありまして、当時の思い出といえば、エンジンがかからない、まっすぐ走らない、ブレーキがきかないでして、いま思うととんでもないシロモノ。それでも当時は気に入って乗り回しておりました。
あの当時からみるとハードウェアとしてのクルマも進化しまして、いまやそんなクルマなど皆無。全体的に良くなった分、メーカー間の個性のようなものも失われ、人々のクルマに対するこだわりのようなものも薄れつつあるような気がしております。
いまのクルマが物理的に出せるスピードも限界にきているといわれますし、ハードウェアの進化も限界に近付いているのかもしれません。こうなるとソフトウェアの優劣に目が行くのも自然の成り行きでしょうか。

ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)などといわれますが、EVが主流になるとクルマとしての個性を出すのはソフトウェアの仕事。気が付けばクルマも大きな変化の時期にきているようです。「駆けぬける歓び」も、今後はソフトウェアによる味付けに変わっていくのかもしれませんね。

それにしても気の毒なのは冒頭のような記事が出てしまった日産でしょうか。ただでさえ苦境が伝えられる昨今、こんな記事が出てしまってはクルマの売れ行きに影響が出ないか心配になります。
EVを購入するほとんどの人は家で充電し、遠出などする人もすくないでしょうから、実質的に大きな問題はないと思うのですが。

そんなクルマの定義が変わりつつあるなか、いよいよ今週末からジャパンモビリティショーがはじまります。今回も行ってきます。
個人的に楽しみにしているのは日産の新型エルグランド。ちょい出し画像が公開されていたのですが、ジャパンモビリティショーでのワールドプレミアが予定されておりまして、ようやく実車にお目にかかれます。長いモデルライフを経ての新型ですからハードウェアの進化に大いに期待したいです。

なんだか最近元気のない日産。今後の反転攻勢に期待しているのは私だけではないでしょう。