「オレは今、猛烈に感動している…」
といったのは『巨人の星』の星飛雄馬だったでしょうか。漫画やアニメでよくあるセリフですが、現在の私の心情を表す言葉として、これほどピッタリくる言葉もありません。
私は今、『あきない世傳 金と銀』に猛烈に感動しています…。
皆さま、こんにちは。サイクロア代表Nでございます。
社内で薦められて読み始めた高田郁の『あきない世傳 金と銀』ですが、ついに本編の最終13巻に突入いたしました。読み始めたら止まらなくなってしまいまして、あっという間の13巻でした。
こういう小説って、主人公が次々試練に見舞われるので、読み進めるのがツラくなる時もあるのですが、なんとか乗り越えてここまでたどり着きました。感動的な場面も多く、電車内で読んでいて涙を流しそうになったことも多々。
まもなく終わりと思うと寂しいかぎりですが、最後がどうなるのか早く知りたいので止めるわけにもいかず、終わらせたいけど終わりたくない、たちの悪い恋愛のような心境です。
これ、リアルタイムで読まれていた方にとっては、次の刊行が待ち遠しくて仕方なかったでしょうね。その状況を考えるだけでツラい。私は全巻刊行後にこのシリーズを紹介されたので、大人読みできる幸せを、勝手にかみしめております。
物語の舞台となっているのは、江戸時代中期の大坂と江戸。
江戸では浅草周辺が物語の中心となっておりまして、弊社のサテライトオフィスからも近く、馴染みの町名とか出てくるので、「あー、あの辺りか」と勝手に想像してよろこんでおります。
現在は古地図もインターネットで簡単に検索できますので、大坂と江戸の古地図を眺めながら位置関係を確認したり、物語に出てくる通りや橋を見つけるのも楽しいですよね。
あと、大坂の商家独特の言葉遣い、個人的に好きなんですよね。山崎豊子の初期の作品にもみられるのですが、久しぶりにそれらの作品を読み返したくなりました。
そしてなんといっても感心するのが、作者の創造力の凄さ。時に史実を絡めながら、当時の町人の暮らしを描き出しているのですが、江戸の暮らしそのもの、という気がしてきます。
以前、なにかの本で読んだのですが、歴史とは要するに事件の記録なので、普通の人の日常の暮らしがどうだったのかについて知ることは実はすごく難しいんですよね。
当時流行した川柳や浮世絵などから得られる小さな情報の積み重ねと、それをもとにした作者の創造力の賜物という気がします。凄い才能ですよね。多くの人を感動させるわけです。
長かった『あきない世傳』シリーズも間もなく終わり。次に何を読もうかと、先日ふらっと本屋に立ち寄ったのですが、池井戸潤の『俺たちの箱根駅伝』という本が横積みにされていて目に付いてしまいました。
読む前から、きっとツラいんだろうなと想像付くので躊躇しているのですが、大好きな箱根駅伝モノ。そのツラさに耐えて読了するのがほんとうのファン、でしょうかね。